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修正申告とは?確定申告が間違っていたときの手続き方法

確定申告はフリーランス自身が経費や一年間の売上、税金の額を計算して税務署に申告する手続きです。そのため、どうしても「計算を間違えてしまった」「書類や数字を一部見逃していた」というミスが発生する可能性があります。

フリーランスが確定申告でミスしてしまったときに使える手続きが修正申告です。

ただ、確定申告のミスを修正する手続きには、他に訂正申告や還付申告などもあるため、手続きの使い分けが重要になります。確定申告をミスしたからといって単純に「じゃあ修正申告で」とは、ならないわけですね。

場合によっては訂正申告などを使うケースもあるため、使い分けのためにはそれぞれの手続き内容をしっかり理解しておく必要があります。

この記事で理解できること

  • 修正申告とは
  • 訂正申告など他手続きと修正申告の違い
  • 修正申告の手続き方法や期限
  • 修正申告で注意すべき点

フリーランスが知っておきたい修正申告の知識を解説します。大切な手続きなので、確定申告とあわせて理解しておきましょう。

修正申告とは

修正申告とは、確定申告をした後に「間違えた!」というときに修正する手続きです。

たとえば、フリーランスAが期限内に確定申告を済ませたとします。フリーランスAは税金の一大イベントが終わったとほっとしていましたが、提出した確定申告書類の控えを見たときに大変なことに気づきました。確定申告書類の計算が間違っていたのです。計算ミスにより、本来納めるはずの税金額より税額を少なく申告していました。フリーランスAは急いで確定申告のミスを修正するため修正申告の手続きをしました。

このように、確定申告後に内容を修正する手続きが修正申告になります。

修正申告の特徴・具体例

確定申告の内容を修正する手続きには修正申告や訂正申告などがあります。確定申告の内容を修正する手続きの中でも修正申告には、以下のような特徴があります。

  • 確定申告の期限後に行う修正である
  • 税務署に指摘される前に行う修正である
  • 税金の額を少なく申告したときに行う手続きである
  • 税金を多く還付されたときに行う手続きである

修正申告は確定申告の内容を修正する手続きの中でも、確定申告の期限後に行う修正になります。確定申告は2月16日~3月15日までです。3月15日までの確定申告期間内に修正を行わない場合は、基本的に修正申告の対象になります。

先の例で考えると、フリーランスAが確定申告のミスに気づいて修正したのが6月なら、もう確定申告期限は過ぎているわけですから、修正申告の対象になる可能性があるわけです。ただ、フリーランスAが修正申告をする前に税務署に「税金を少なく申告していますよね」と指摘され更生されていれば、もはや修正の出る幕はありません。税務署側が更生しているからです。確定申告の期限後にフリーランスAが税務署から指摘される(更生される)前に使えるのが修正申告になります。

また、修正申告の場合は、税金を少なく申告していた場合・税金を多く還付され過ぎた場合に修正する手続きです。税金を多く申告した場合・税金の還付が少なかった場合は基本的に別の手続きの対象になります。

修正申告、更生の請求、確定申告、訂正申告、還付申告の違い

修正申告の他にも税金関係にはさまざまな手続きがあります。申告と名前がつくだけで、修正申告の他に訂正申告や確定申告などがあるのです。フリーランスとしては「手続きを使い分けようにも、違いがよく分からない」と悩むのではないでしょうか。

修正申告と他手続きを使い分けるため、違いについて説明します。取り上げるのは以下の手続きです。

  • 確定申告
  • 訂正申告
  • 還付申告
  • 更生の請求
  • 年末調整

修正申告と確定申告の違い

確定申告とは、フリーランスや個人事業主などが一年間の売上や経費、控除などから税金の額を計算して申告する手続きです。

会社員の場合は会社側が源泉徴収など税金手続きをしてくれますが、フリーランスや個人事業主は自分で税金の手続きをしなければいけません。自分で売上や控除、経費などを計算し、毎年2月16日から3月15日までの期間に確定申告の手続きをします。フリーランスや個人事業主として働き納税をするためには、確定申告の手続きは原則的に必須です。

修正申告はあくまで確定申告のミスを修正する手続きのひとつです。確定申告でミスがなければ、特に修正申告をする必要はありません。フリーランスにとっては原則的に必須である確定申告に対し、修正申告は「修正の必要がなければしなくてよい手続き」なのです。

すでにお話ししたように、確定申告には期限があります。修正申告は期限外の手続きなので、期限という点でも確定申告と違っています。

修正申告と訂正申告の違い

修正申告は確定申告の期限後に修正する手続きになります。対して訂正申告は、確定申告の期限内に確定申告の内容を修正するときに使う手続きです。

たとえば、フリーランスAが期限内に確定申告をしたとします。確定申告をした直後に、内容に誤りがあったことに気づきました。フリーランスAは確定申告期限2月16日~3月15日の間に内容の修正を行いました。これが訂正申告です。訂正申告は確定申告の期限内に行うため、確定申告をやり直すような手続きになります。

修正申告と訂正申告では、期限内か期限後かという手続き期間の違いがあります。

修正申告と還付申告の違い

還付申告とは、税金を納め過ぎているときに払い戻してもらうための手続きです。

サラリーマンBは会社が給与から税金の天引きをしてくれること、そして源泉徴収や年末調整を行うことなどを理由に、確定申告はしていませんでした。サラリーマンは確定申告が必須ではないからです。

しかし、サラリーマンBは自分が控除を使え、税金の還付を受けられることを知り、手続きしたいと考えました。サラリーマンBは税金を多く納め過ぎていたのです。サラリーマンBは還付申告をして、納め過ぎた税金を還付してもらいました。これが還付申告です。還付申告には5年という期間があり、確定申告と期限は違っています。

修正申告は税金を少なく計算してしまった場合や、税金を多く還付してしまった場合などに使う確定申告の修正手続きです。対して還付申告は税金を多く納めてしまったときに返してもらう手続きになります。
なお、フリーランスについては、確定申告が還付申告を兼ねているため、還付がある場合に確定申告と別に還付申告をする必要はありません。

還付申告については別の記事にまとめています。別記事も参考にしてください。

修正申告と更生の請求の違い

更生の請求も、確定申告の内容を修正する手続きです。ただ、更生の請求の場合は納める税額が減る場合の手続きになります。確定申告期限後の修正という点では同じです。

フリーランスAが確定申告をした後に内容の誤りに気づきました。誤りに気づいたのは確定申告の期限後だったため、訂正申告はできません。フリーランスAが再計算したところ、本来よりも多く税金額を算出してしまったようでした。フリーランスAが納める税金はもっと額が少なく、還付もより多く受け取れるという結果です。

修正申告は税金額を少なく申告してしまった場合や、還付を多く受け取ってしまったときの手続きになります。そのため、フリーランスAの状況にはそぐわない手続きです。フリーランスAは更生の請求で対処しました。

修正申告は税金額を少なく申告した場合や、多く還付され過ぎた場合の手続きです。つまり、税金を受け取る側が有利になる際の手続きになります。対して更生の請求は税金額を多く申告した場合や、還付金が少なかった(修正により還付金が増える)ときの手続きです。税金を払うフリーランス側が得をするときの手続きだといえるでしょう。

修正申告と年末調整の違い

税金手続きで修正とくれば、年末調整を想像する人もいるかもしれません。

年末調整は会社が行う手続きです。会社は源泉徴収などで社員の税金手続きをしています。しかし、税金額が必ずあっているとは限りません。そのため、多い分は返還し少ない場合は徴収するなど年末に調整しているのです。会社側が勤めている社員の税金を調整する手続きが年末調整になります。会社員と会社の税金手続きです。フリーランスは会社に勤めているわけではないため、年末調整は受けられません。

なお、年末調整を受けた会社員も、控除を使いたいなどの理由により確定申告をすることは可能です。会社がひとりひとりの従業員の税金や控除などをチェックして手続きをしてくれるわけではないからです。

修正申告の手続き方法

確定申告の際に税金を過少に申告してしまったなどのミスを修正する場合、どのような流れで修正申告すればいいのでしょうか。

修正申告の手続きは、修正申告書を作成して税務署に提出するだけです。修正申告の書式は国税庁のホームページにPDFがあります。

一覧を見ると「修正申告用」という書式がなく戸惑うかもしれません。

修正申告に使う書式は、「第5表」という書式です。よく見ると修正申告という文言がありますので、確認してみてください。

この第5表という書式に必要事項を記入して提出するという流れです。

修正申告の期限

修正申告の期限は、税務署から「間違っています」と指摘されるまでです。自分で確定申告のミスに気づき、自分で手続きする方のための手続きですから、税務署に指摘と更生されてしまっては、自発的な修正はできません。よって、修正申告の手続き期限は確定申告の手続き期間後~税務署に間違いを指摘・更生されるまでが基本的な期間になります。

確定申告のような明確な期限はありませんが、ミスを見つけたら早めに手続きしましょう。次の注意点の見出しで詳しくお話ししますが、その方がミスによるマイナスを軽減できます。

修正申告をする際の注意点

修正申告をする際は注意したいポイントが4つあります。手続き時は注意点を留意し、必要であればあらかじめ準備を整えておきましょう。

修正申告など手続きの使い分けが分からない場合は相談する

税金の手続きはいろいろあり、期限や内容が複雑です。申告と名前がつく手続きだけでも、確定申告に訂正申告、修正申告、還付申告などがあります。フリーランスをはじめたばかりの方は、使い分けに戸惑うかもしれません。

分からない場合は税務署や税理士など、専門の窓口や専門家に確認しましょう。最初が肝心です。間違って覚えるより、早い段階で明確に使い分けや手続きの内容を理解することが重要ではないでしょうか。

修正申告により追加納税が発生する

修正申告すると追加納税が必要になります。

修正申告は税金の額を過少に算出してしまったときの修正手続きです。よって、修正申告で本来の税額がもっと多いと分かった場合は、当然ですが足りない分を納めなければいけません。

追加で納める税金額によっては、納める際に準備が必要になることでしょう。手続きにあわせて差額を準備しておくことが注意点です。

修正申告により延滞税などがかかる可能性がある

修正申告をすると、延滞税などの本来納めるべきだった税金以外の税金もかかる可能性があります。

延滞税とは、利子のような扱いの税金です。本来は確定申告期限内に手続きを終わらせなければならなかったのに、ミスがあったわけですから、本来の期限より遅れたことになります。そのため、期限後から手続きまでの延滞税(遅れたペナルティのような税金)をあわせて納めなければいけません。

延滞税の他に、過少申告加算税なども納めなければならない可能性があります。修正申告の場合は確定申告だけで通常通り手続きを終わらせたケースより、余計に税金がかかってしまうことを覚悟しなければいけません。

税務署から更生が入る前に急いで修正申告が必要

修正申告ができるのは基本的に税務署が更生する前です。ただ、「税務署から何も言われていないから」と放置しておくと、マイナスが増える点に注意しなければいけません。

確定申告期限の終わりから修正申告までには、延滞税がかかります。間違いに気づいていて、修正を後回しにすればするほど、延滞税などのマイナスが増えます。手続きの間違いに気づいたら、早めに手続きした方が無難です。

まとめ|状況にあわせて手続きを使い分けよう!

修正申告についてまとめます。

・修正申告とは確定申告を修正するときの手続きである
・修正申告は税金を過少に計算した、還付を受け過ぎたときの手続きである

申告と名前のつく手続きは他にもあるため、混同しないよう注意が必要です。手続きの内容を知って、必要な手続きを使い分けましょう!