フリーランスにとっては身近な存在で、実際に私も経験したことがあります。
税務調査とは?
税務調査とはフリーランス・個人事業主・会社などにおこなわれる立ち入り調査になります。調査の目的は税の申告がきちんとおこなわれているかどうかの確認です。
電話や手紙などで「しっかり申告をしていますか」「状況をヒアリングさせてください」ではなく、実際に仕事をしているところに税務調査の担当がやってきます。その上で、フリーランスが申告に使った資料の確認や、税金関係のことについてヒアリングなどがおこなわれます。
税金の専門家による実地調査のようなものだと考えれば分かりやすいはずです。
フリーランス/個人事業主も税務調査はあるの?
税務調査は会社に来るものと思うかもしれません。
実際は、税務調査は会社だけのものというわけではありません。税務調査はフリーランスや個人事業主にも来る可能性があります。それも、可能性は決して低いとは言えません。
税務調査が入る確率
税務調査の割合は、フリーランス100人に対して1人ほどだと言われています。100人フリーランスがいれば、そのうちのひとりにはその年に税務調査がやって来る計算です。
また、会社・フリーランス・個人事業主のうち6%は税務調査の対象になっているとも言われています。
今年は来なかったからといって、来年来ないとも限りません。何しろ、税務調査は毎年おこなわれており、1年のうちに100人のフリーランスのうち1人、会社・フリーランス・個人事業主のうち6%は対象になるのですから。明日は我が身ならぬ、来年は我が身と思っておいた方がいいかもしれません。いつ100人のうち1人に選ばれてしまうか分からないのです。
また、よく勘違いされますが、税務調査は明らかな脱税や無申告、税金逃れなどが無くても、抜き打ちでやってきます。
「税務調査をします」と連絡を受け取って「なぜうちが」「脱税などしていないのになぜ?」と思うかもしれません。税務調査は抜き打ちテストのような性質もあるため、フリーランスにやましいものがなくても、抜き打ちでやって来る可能性があることは知っておくべきです。
ちなみに私の場合は会社を立ち上げて3年目の申告が終わった後に税務調査が入りました。
税務調査はどのようなことをするのか
フリーランスに税務調査が来たら、一体どのようなことをするのでしょうか。税務調査では税の申告に使った資料のチェックやヒアリングなどがおこなわれるのですが、これだけの情報では対処が難しいですよね。
フリーランスに税務調査の連絡があったときにどのような流れでおこなわれるのかなど、もう少し詳しく見ていきましょう。
税務調査の場合は数日~1週間ほど前に連絡が来る
税務調査と言われると、背広姿の男の人たちが大勢やって来て強制的に調査される印象があるかもしれません。よくドラマで壁際に立たせられて「パソコンに触らないでください」という感じのワンシーンが流れますよね。
このようなワンシーンはあくまで強制捜査の場合です。税務調査ではこのようなことはありませんので、安心してください。
税務調査の場合は抜き打ちテストに近いかたちですが、当日にいきなり黒服の人たちがやってくるわけではありません。
学校のテストのように準備期間・テスト勉強期間という感じで、1週間前くらいに担当から連絡があります。連絡についても強制という印象はあまりなく「ご協力ください」という感じですので、特に構える必要はありません。
連絡では税務調査の日時についても話があります。
税務調査の前に過去の申告書類などをそろえておく
税務調査の連絡があったら、しておくべきことがあります。
それは過去の税務関係の資料をそろえておくことです。税務調査では過去の資料についてチェックが入ります。
そもそも税務調査の目的はしっかり税金の申告がおこなわれているかどうかを確認することです。確認のためには資料チェックもしなければいけませんから、確定申告書類や帳簿なども、すぐに提出できるよう準備しておかなければいけません。
税務調査前の申告書類や帳簿類の準備、確認などで不安があれば、税理士に相談しておくといいでしょう。税務調査まで1週間くらいの準備期間がありますから、税理士の方も事情を理解して対応してくれるはずです。
ちなみに提出する際の媒体は紙が一般的です。
データで発行された領収書や請求書といったものも全て印刷して提出する必要があるか、税務署もしくは税理士に確認してください。
私の場合は紙で提出する必要があり、過去3年分のお金周りに関わるデータを全て印刷し月別に整理するといったことに数日かかりました。税務調査が入った時に大きな仕事と重なっていたりしたらもうお手上げだったでしょう。日頃からデータの整理はしておくべきですね。
税務調査当日に資料の確認やヒアリングがある
税務調査当日は税務署から担当がやってきます。場所は税理士がいれば税理士事務所の場合もありますし、会社であれば事務所、フリーランスであれば自宅になると思います。
税務調査ではヒアリングや資料の確認などをおこないます。
ドラマで見るような「壁側に立ってください」「近づかないように」というようなことはないため安心してください。
ただ、税務調査である以上、脱税や所得隠しを疑われている可能性があるため、気安いものでもありません。職務質問や取調べのようなものでもあります。
ヒアリングのときに答え方が分からない、どのように担当に接したらいいか分からないという方もいるかと思います。
税務調査員と仲良く話しているうちに重箱の隅をつつくような指摘をされることも多々ありますので、税務調査の前に税理士に相談しアドバイスを受けておくことをおすすめします。
税務調査の対象になりやすいフリーランスとは
フリーランスの中には税務調査されやすいフリーランスと「今まで10年やっているけど1回も税務調査はない」というフリーランスがいます。同じフリーランスでも税務調査されやすいフリーランスと、税務調査されにくいフリーランスがいるのです。
税務調査されやすいフリーランスには規則性があると言われています。
税務調査されやすいフリーランスとは、次のようなポイントに当てはまるフリーランスです。
所得の多いフリーランス
税務調査の対象になりやすいフリーランスとして所得の多いフリーランスがいます。
不正な経費計上をおこなっている可能性もあるのではと疑われるからです。実際に不正などをしていなくても、所得が多いという点で疑われる可能性があることは留意しておきましょう。
売上を急に伸ばしたフリーランス
売上を急に伸ばしたフリーランスも疑われる可能性があります。疑われるからこそ税務調査が入りやすいというわけですね。
売上を急激に伸ばしたフリーランスは、単純に「その分だけ仕事を頑張ったから」「仕事の受注が多かったから」と言えるでしょう。しかし税金を管轄する方から見れば「仕事が多いという理由だけではないのでは?よからぬお金の流れがあるのでは?」とも思われるわけです。そのため、税務調査で書類や帳簿のチェックが入る確率が高くなります。
複数の仕事を掛け持ちしているフリーランス
フリーランスの中には複数の仕事を掛け持ちしている人も少なくありません。
たとえば、普段はフリーランスエンジニアとして働いていたとします。空き時間にライターの仕事もしており、自分の持っている資格を使った仕事もしていました。エンジニア・ライター・資格を使った仕事の三足わらじというやつです。
仕事が多いとその分だけ収支が複雑化します。経費も複雑になることでしょう。複雑になるからこそ「どこかで間違えているのではないか」と税金の担当は考えるわけです。
複数の仕事を掛け持ちしているフリーランスも税務調査の対象になりやすいと言われているため、注意が必要です。
経費や売上の数字に不信感を持たれたフリーランス
税務署は税金や数字のプロですから、不審な収支や数字の記載、お金の動きがあればすぐに気づきます。申告の書類に不審な点があると、税務調査がおこなわれる可能性が高くなるのです。
不審な数字があっても、「これは単なるミスでしょう」と分かるものもあります。しかし中には、明らかに水増しや他の数字と比較してあまりに数字が小さいなど、不審なケースがあるのです。
もちろん、そのすべてが故意というわけではないでしょう。真実は小説より奇なりといいますから、実際に妙な数字になってしまうことは、あるかもしれません。しかし、第三者視点では本当か嘘か分かりませんから、税務調査の原因になる可能性があります。
過去に脱税などがあったフリーランス
過去に「やらかし」があるフリーランスについては、税務調査の確率が高くなります。
たとえば、過去に処理ミスで納めるべき税金を納めていないことが発覚し、税務署に怒られてペナルティを受けた経験があった場合などです。フリーランスの中でも過去に無申告や所得隠し、脱税などがあると、税務調査の確率が上がってしまうのです。
「過去にやったから。またやっているのではないか」と疑われるため、税務調査の確率が高くなります。
無申告のフリーランス
無申告であることがバレると、当然ですが税務調査の確率はかなり高くなります。
無申告はバレないと思うかもしれません。実際はわりと簡単にバレてしまうのです。無申告がバレる原因は取引先になります。取引先の申告の際の帳簿や資料などから取引があるフリーランスが分かります。そのフリーランスが無申告だと、あっさりバレてしまうのです。
税務調査を回避するための対処法・注意点
フリーランスにとって税務調査は他人事ではありません。だからこそ、税務調査を回避する方法や注意点なども知っておきましょう。
税務調査を回避したい場合は「自分に厳しく」がポイント
税務調査を回避するためには、申告書類に不審な点があってはNGです。だからこそ税金の知識を養い、「この程度なら水増ししていいよね」という自分への甘さを捨てる必要があります。
誰に指摘されても「怪しいところはない」と言い切れるように、しっかりと明瞭な数字で申告しましょう。
仕事に関する書類の保管や調整はしっかりやっておく
仕事に関する書類の管理は重要です。税務書類や取引関係の資料などは、税務調査があってもすぐに準備できるように、常に整えておくよう心がけましょう。経費などについては説明できるように、領収書やレシートなどにメモ書きしておくのも良い方法です。
税務調査は悪い事ではないと理解することが重要
税務調査の連絡があると「自分は脱税などしていないのに」と思うかもしれません。
税務調査はフリーランスが100人いればそのうちの1人には来るものです。特に悪いことをしていなくても、抜き打ち調査のかたちでおこなわれることがあるため、税務調査の連絡を受けても気にする必要はありません。しっかりと申告しているのであれば胸を張ってください。
疑問や悩みはすぐに税理士に相談する
税金関係のことで疑問があればすぐに税理士に相談することをおすすめします。分からないままで手続きや申告を進めてしまうと、ミスをする可能性があります。
ミスにより申告に不審な点があると、税務調査のきっかけになる可能性もあるのです。分からないことは早めに専門家に確認する癖をつけておいた方が安心です。
もし税務調査されることになったら?
税務調査の連絡があったら、急ぎで税理士に相談することをおすすめします。
税務調査は税理士に対応してもらうというルールはありません。税務調査の担当の対応を自分ですることも可能です。
しかし、税務調査にやって来る担当は税金のプロであることを忘れてはいけません。税務調査の担当官からはヒアリングなどもありますから、特に脱税などしていないのに、あやふやなことを言ってしまい、疑いをさらに深めてしまわないとも限りません。
税理士に連絡し、アドバイスを受けるか、税務調査の日にサポートしてもらえるようお願いしておくと安心です。
フリーランスにも税務調査はある!手続きはしっかり
フリーランスによって税務調査は遠い国の出来事ではありません。
自分にも今年あるいは来年にくるかもしれない身近な出来事です。
税務調査は脱税などが確定していなくても「怪しい」だけで来る可能性もあれば、特に何もしていなくても来てしまう可能性があります。抜き打ちテストのようなものだと捉えましょう。
税務調査されやすいフリーランスには共通点があります。
共通点に当てはまっている場合は注意してください。不安な点や疑問点などがある場合は、早めに税理士に相談しておくようにしましょう。税務調査の連絡があった場合も、税理士にサポートをお願いしておいた方が安心です。