年金や税金、雇用関係、銀行などの大切な手続きが待っています。
それらを終えて、本当の意味での会社設立手続き完了といえるんです!
ということで、ここでは会社設立登が記終わった後にすべき手続きを一覧で解説していきます。
会社設立の登記が済んでいない人は、登記前の準備や登記する際の手順をまとめた記事を参考に、まずは登記を完了させてくださいね!
会社設立(法人登記)後にすべきこと
会社設立登記が終わってからすべき手続きは以下の9つ。それぞれ解説していくのでしっかり手続きを進めていきましょう。
オフィスの契約変更手続きをする
会社の設立登記のためにオフィスの住所が必要でも、会社設立登記が済んでいないと会社(法人)としてオフィスの契約ができません。そのため、会社設立登記の前にオフィスを個人で契約している場合は、設立登記が完了したら個人名義の契約を法人名義の契約に変更しましょう。
シェアフィスやバーチャルオフィスの場合は、運営もとの案内に従い登記簿謄本など指定された書類を送付します。登記簿謄本などの必要書類で会社の情報や実態を確認できれば、基本的に個人契約から法人契約へ変更してもらえます。
契約変更の手順や必要な手続き、必要書類などは契約しているシェアオフィス・バーチャルオフィスに問い合わせてください。ホームページに手続き方法が記載されていることもありますので、Q&Aや利用案内などがあれば確認しておきましょう。
不動産を契約している場合は、管理会社やオーナーに法人名の契約にしたい旨を伝えたうえで必要な手続きを進めてください。
法人用の銀行口座開設手続きをする
金融機関には個人口座の他に会社名義の口座である法人口座があります。会社の設立登記が済んだら、会社の取引による発生する入出金などを管理する法人用口座を開設しましょう。
会社設立登記の後に会社の入出金を個人口座で管理してはいけないというわけではありません。また、個人口座を仕事で利用することが違法というわけでもありません。それなら「法人口座は不要ではないか」「会社の事業規模が大きくなってから法人口座を開設すればいいのではないか」と思うかもしれません。
しかし会社設立後に個人口座を活用することは、あまりおすすめしません。
なぜかというと、個人口座を使うことで税金や財産管理のトラブルが起きる可能性があるからです。自分の財産と混ざってしまい経理のミスや、税金申告のミスなどをしてしまうことが考えられます。
会社の入出金は会社の口座で管理し、経理や税金のミスを防ぐことが重要。
会社名義の法人口座で会社の取引分を管理すると会社の取引や入出金がひと目で分かるので、管理や税金などの手続きもしやすくなります。
年金事務所への社会保険(厚生年金・健康保険)の届出をする
社会保険は厚生年金や労災、雇用保険、介護保険などの総称ですが、給与支給対象者に対する厚生年金と健康保険を指して使われることが多いです。社会保険(厚生年金・健康保険)の届出を提出する先は管轄の年金事務所になります。
会社を設立したら5日以内に厚生年金や健康保険の届出をしなければいけません。従業員がいない会社(代表1人の会社)でも基本的に手続きをする必要があります。
※役員報酬は「給与所得」なので従業員と同様に厚生年金・健康保険の対象となります。
会社設立から5日という極めて短い期間にすべき手続きなので、期限を徒過しないよう注意しましょう。
登記申請書類を提出してすぐに社会保険の届出準備をしておいて、登記完了と共に未記入部分を記載して届出という流れで進めればスムーズです。
この時、登記事項証明書の原本が必要になるので登記時に法務局で取得するようにしましょう。
税務署への届出をする
会社の設立登記をしたら会社の本店があるところの税務署に届出をする必要があります。
会社設立後は会社として税金を納めなければいけません。そのため、税金を管轄する税務署に届出をして課税が滞りなく行われるようにするのです。
会社の設立について届け出る他、青色申告をする場合や従業員がいて給与の支払いをする会社である場合は、その旨を届け出ます。自分(会社の設立者)が1人で仕事をして役員報酬を受け取る場合にも届出は必要です。
従業員が10人以下の会社は源泉徴収の納期特例について届出しておくことにより、源泉徴収の手続きを毎月から年2回にできます。税金の手続きの手間を大幅に削減できますので、提出を検討してみるといいでしょう。
なお、個人事業主として仕事をしていて会社になったとき(開業届を提出していたとき)は廃業届の提出も忘れないでください。
この時、必要書類は会社設立freeeからダウンロードすることが可能です。
また定款のコピーと登記事項証明書のコピーも必要になるので準備していきましょう。
都道府県税事務所への届出をする
会社を設立したら本店のある都道府県税事務所にも届出をしなければいけません。会社は地方にも税金を納めるため、自治体に会社の設立を知らせなければならないのです。
届出の期間は都道府県によって異なります。東京都の場合は会社設立から15日以内です。埼玉県の場合は会社設立から1カ月以内、大阪府の場合は会社設立から2カ月以内になっています。
この時、必要書類は会社設立freeeからダウンロードすることが可能です。
また定款のコピーと登記事項証明書のコピーも必要になるので準備していきましょう。
市区町村役場へも届出をする
会社設立時は都道府県税事務所や税務署だけでなく、市町村の窓口にも届出しなければいけません。必要書類は各市区町村の公式サイトを確認して準備するようにしましょう。
ただし、本店のある都道府県によって例外があります。たとえば東京都の場合は東京都税事務所だけに届出すればよく、各区の窓口に届出する必要はありません。
従業員がいる場合は労働基準監督署へ届出をする
会社を設立した場合、最初から従業員を雇うケースと従業員は雇わないケースがあります。会社設立時に従業員を雇うケースでは、労働基準監督署へ労働保険の届出が必要です。
労働保険とは雇用保険や労災保険などの従業員を守るための保険です。ふたつの保険のうち労災保険を労働基準監督署が管轄しています。
従業員を雇ったときは、雇った日から10日以内に労働保険の届出が必要です。この他に、従業員を雇ってから50日以内に労働保険の概算保険料申告書の提出も要します。
従業員の人数が10人を超える場合や就業規則の変更時なども届出が必要になりますので、会社の従業員数などに合わせて必要な届出を問い合わせておきましょう。
なお、従業員を雇わず代表である自分1人で会社の仕事をする場合は、特に届出する必要はありません。あくまで従業員を雇う場合に必要な手続きです。
公共職業安定所(ハローワーク)への届出をする
ハローワークへの届出も従業員を雇わなければする必要はありません。
よって、労働基準監督署と同じく代表者が自分1人で仕事をするケースではハローワークへの届出は不要ということになります。
仮に従業員をやとって会社を運営する場合は労働基準監督署で手続きをした後に、今度はハローワークで雇用保険に関する手続きを要します。
なお、従業員を雇う場合でも労働条件によっては雇用保険の加入対象外になる可能性もあります。
会社設立と共に従業員を雇い入れるときは、雇用保険の加入対象になるか、届出を要するか、ハローワークに問い合わせておきましょう。
会社設立後に就業規則の作成もする
複数人の従業員で仕事をするためには会社のルールが必要になります。
就業規則を義務付けられているのは従業員が10人以上のケースで、従業員が10人に満たない会社では就業規則を決めることは必須ではありません。
しかし、皆さんは右側(BやI)へ近付いていくため積極的に採用活動を進めていこうと考えているはず。しかし就業規則が無いまま採用活動すると、求職者が不安に感じ入社に至らないということも考えられます。
ここは少しお金を掛けてでも社労士と要件を固めてしっかり作っていきましょう。
その際に、キャリアアップ助成金を使えるとより会社の運営が有利になるため「キャリアアップ助成金により助成金を受けることができるようなものを作りたい!」ということは社労士に伝えておきましょう。
キャリアアップ助成金については厚生労働省の公式サイトを参照してみて下さい。
その他にやっておくべき手続き
会社設立後は保険や税金の手続きだけでなく、会社の運営をスムーズにするために以下の手続きについても早めに検討しておきましょう。
会社の業種によっては設立後に別の手続きもしなければならないため、届出と合わせて準備を進める必要があります。
許認可の取得/確認をする
業種によっては官公庁の許認可が必要になります。
SES事業の場合は取り急ぎは許認可無しで運営は可能ですが、様子を見つつ一般労働者派遣業や人材紹介業の許認可は取得しておきたいところです。
許認可が必要な業種としては、古物商や飲食業、理容などがあるので、もしSES事業以外で許認可が必要な事業をする場合は、許認可について確認をしておきましょう。
個人事業主から会社へ財産の譲渡をする
個人事業主として仕事をしていて会社を設立したときは、個人事業主のときに仕事に使っていた機器といった仕事道具を会社の財産として移転させることも可能です。
会社には売却する方法や賃貸する方法があります。譲渡や賃貸の際の契約や金額については、弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
法人のクレジットカードもしくはデビットカード契約をする
必ず必要というわけではありませんが、法人用のクレジットカードもしくはデビットカードを作成して仕事上の出費をまとめてしまうという方法もあります。
また助成金を利用して何か物品を購入するという場合、個人名義のカードで支払ったものは認められないことがあります。そのため普段は使用しなくても法人のカードは作っておいた方が良いでしょう。
クレジットカードには個人用と法人用がありますので、法人を設立したタイミングでクレジットカード会社に法人用カードを申し込むのも経理上の負担を減らす方法のひとつです。
会社設立後にすべき手続きは9つ
会社設立登記が終わったら税金や保険関係の届出をする必要があります。
ただし、すべての会社がすべての手続をしなければならないわけではなく、会社の従業員数などによっても必要手続きが変化します。
登記を済ませた段階、あるいは会社設立登記の準備と同時並行で、必要な届出を確認しておくようにしましょう。分からないことがあれば専門家や管轄の窓口を積極的に活用することも重要です。