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訂正申告とは?確定申告期限内にやり直す方法

フリーランスは税金手続きを自分でしなければいけません。

代表的なフリーランスの税金手続きには確定申告があります。その他にも、フリーランスが自分で行う税金の手続きには、訂正申告や修正申告などの手続きがあるのです。フリーランスは「税金の何についての手続きか」を考え、自分で修正申告や訂正申告などの手続きを使い分けなければいけません。

この記事では、フリーランスの各種税金手続きの中から訂正申告を取り上げて説明します。

この記事で理解できること

  • 訂正申告とは
  • 訂正申告と修正申告など他手続きの違い
  • 訂正申告の手続き方法
  • 訂正申告の期限
  • 訂正申告をする際の注意点

訂正申告についての基本的なポイントをこの記事に集約しました。確定申告や還付申告、修正申告など、名前の似た他の税金手続きと使い分けできるよう、基本的なポイントをしっかりおさえておきましょう。

訂正申告とは

訂正申告とは「確定申告の内容を訂正する手続き」です。フリーランスは確定申告の内容にミスがあれば、訂正申告などの手続きで対処することになります。

フリーランスは会社が源泉徴収や年末調整をするわけではありません。そのため、確定申告によって税務署にその年の税金額や経費、控除などを報告します。フリーランスや個人事業主にとって、確定申告は納税のベースになる手続きですから、原則的に必須です。

しかし、確定申告を済ませたフリーランスの中には「確定申告の計算を間違えてしまった!」とミスする方もいらっしゃるはずです。フリーランスは自分で領収書などをチェックして税金額を計算しなければならないからこそ、ミスする可能性はゼロではありません。

フリーランスが確定申告でミスしたときに使える手続きが訂正申告です。

訂正申告の内容・具体例

訂正申告は確定申告の期限内に確定申告の内容を訂正する手続きになります。確定申告の期限は2月16日から3月15日です。この期間内に確定申告の内容を訂正する手続きが訂正申告になります。

理解しやすいように、あるフリーランスの例で説明しましょう。

フリーランスAは3月1日に税務署へ確定申告の書類を提出しました。フリーランスAは「今年も確定申告が終わった」と一安心でしたが、あらためて確定申告の書類を確認すると計算ミスがあったことに気づきました。

フリーランスAは経費の領収書やレシートを計算し直して比較しましたが、やはり計算があいません。確定申告の書類は計算ミスをしたまま提出してしまったのです。フリーランスAは確定申告期間内である3月5日に訂正申告を行い、確定申告のミスを訂正しました。これが訂正申告です。

確定申告の内容を訂正する手続きなので、フリーランスとも大いに関係のある税金手続きであるといえるでしょう。

訂正申告と修正申告など他手続きとの違い

フリーランスに関係する税金の手続きには訂正申告の他に修正申告などの手続きもあります。確定申告など基本的な手続きもふくめ、訂正申告との違いを説明します。

訂正申告と確定申告の違い

確定申告はフリーランスにとって最も身近な税金手続きではないでしょうか。フリーランスは1月1日から12月31日までの売上や経費を計算し、納めるべき税額を算出して申告するルールです。前年の分の確定申告は翌年の2月16日から3月15日までの間に行います。確定申告はフリーランスが納税するために欠かすことのできない手続きであり、毎年行う恒例行事のようなものです。

訂正申告は確定申告期間内に確定申告の内容を訂正するための手続きになります。いわば、期間内の確定申告のやり直しです。訂正の必要がなければ訂正申告をする必要はありません。

フリーランスにとって確定申告は基本的に必須です。対して訂正申告は内容訂正ですので、必須ではありません。ただ、訂正申告は確定申告の期間内に行う訂正手続きですので、期間に関しては同じになっています。

訂正申告と修正申告の違い

訂正申告と修正申告はどちらも確定申告のミスに関する手続きなので混同されやすい傾向にあります。ただ、同じ確定申告のミスを是正する手続きでも、内容が違っています。手続きを間違えないためにも、違いについてしっかり把握しておきましょう。

訂正申告は、すでにお話しした通り確定申告期限内の内容訂正です。期限内に確定申告の内容を訂正する、やり直しのような手続きが訂正申告になります。対して修正申告は、確定申告期限後の修正です。確定申告後に税金を少なく計算していた(税金をもっと納める必要があった)場合や、還付を多く計算していた(適正な還付額より多く計算してしまった)場合などは修正申告を使います。

フリーランスAは確定申告後にミスに気づきました。フリーランスAが確定申告期限である2月16日~3月15日の間に「申告内容を間違えました」と申告手続きのやり直しをする場合は訂正申告です。フリーランスAが確定申告に気づいて内容を修正するのが3月15日の期限以降であれば、修正申告になります。

修正申告については別記事に手続きや他手続きとの比較などをまとめています。参考にしてください。

訂正申告と還付申告の違い

訂正申告は確定申告の期限内に訂正する手続きです。フリーランスにとっての還付申告は、納め過ぎた税金を返してもらう手続きになります。

とはいえ、フリーランスは確定申告に税額が分かるため、税金を納め過ぎている場合は確定申告で分かります。そのため、還付が発生する場合は確定申告の他に還付申告をする必要はありません。確定申告が還付申告を兼ねると考えると分かりやすいはずです。

還付申告は納め過ぎた税金を返還してもらうための手続き。対して訂正申告は、確定申告期限内の訂正手続きです。どちらも申告という言葉が使われている手続きですが、内容が異なっています。

還付申告については別記事で説明しました。別記事もぜひチェックをお願いします。

訂正申告と更生の請求の違い

訂正申告と更生の請求は期限と手続き内容の点で違っています。

訂正申告は確定申告期間である2月16日から3月15日の間に行う確定申告の訂正(やり直し)です。対して更生の請求は確定申告期間外に行う手続きになります。訂正申告と更生の請求では手続き期間が違います。

更生の請求は確定申告の期間外に納税額が多かった場合や還付が少なかった場合の手続きです。確定申告のやり直しのような手続きである訂正申告とは手続き内容が違っています。

訂正申告と年末調整の違い

税金の計算し直しという点で訂正申告と年末調整が似ていると考える方もいらっしゃるかもしれません。訂正申告と年末調整はまったく違った手続きです。

年末調整は会社が行う手続きです。フリーランスは基本的に関係ありません(会社に勤めながらフリーランスもしていれば別ですが…)。

会社は社員から税金などを天引きしています。会社員は確定申告の必要はなく、基本的に会社が税金手続きしてくれます。しかし、会社の税金計算が必ずあっているとは限りません。ずれが生じることも珍しくないのです。だからこそ会社は年末頃に年末調整という税金の計算と調整を行います。

会社員として働いた経験のある方は、年末頃になると会社から「年末調整の書類を出して欲しい」と言われたことがあるはずです。会社は社員から提出された年末調整の書類を確認して計算し、税金の過不足を計算するわけです。

年末調整は会社と会社員の税金調整手続きになります。会社員自身が税務署に足を運んで何か手続きするわけではありません。あくまで会社を通して行い、主体となって計算や調整を行うのも会社になります。

訂正申告はフリーランス自身が行う確定申告の訂正です。年末調整とは手続きの主体や内容が違っています。

訂正申告の手続き方法

訂正申告は確定申告期限内のやり直しです。よって、特別な手続きは必要ありません。訂正した確定申告の書類を税務署の窓口に提出すれば問題ありません。提出方法も窓口に直接足を運ぶ方法や郵送など、通常の確定申告と特に変わりません。訂正した確定申告の書類による期限内の確定申告のやり直しなので、手続きも基本的に同じになっているわけです。

なお、訂正申告の際はすでに確定申告を一度提出しています。訂正申告書類を提出する際は、先に提出した確定申告書類のコピーも一緒に提出します。控除の際に必要な添付書類などもすでに提出済みのことが多いため、確認のためです。

訂正申告は確定申告のやり直しです。そのため、申告書類も確定申告書類を使います。訂正申告の際は確定申告ではなく訂正であることが分かるように、確定申告書の余白部分に「訂正申告」と朱書きしておきましょう。

訂正申告の際に新たに必要な書類があれば、あわせて提出します。

訂正申告の期限とは

訂正申告は確定申告のやり直しなので、期限も確定申告と同じです。確定申告の基本的な期限は2月16日から3月15日なので、訂正申告もこの期限内に行うことになります。期限を過ぎると修正申告など別の手続きの対象になりますので注意してください。

なお、新型コロナの影響で確定申告の期間にも影響が出ています。たとえば令和2年の確定申告の場合、令和3年の4月15日まで期間が延長されました。令和3年分の確定申告についても、簡便な手続きで期間を伸長可能です。期間を伸長した場合の訂正申告の扱いについては、税務署に確認してください。

訂正申告をする際の注意点

訂正申告は確定申告のやり直しのような手続きなので、通常の確定申告と同様に考えれば問題ありません。ただ、注意したいポイントがありますので、手続きの際に気をつけてください。

訂正申告など手続きの使い分けが分からなければ確認する

税金にまつわる手続きには訂正申告や確定申告、修正申告などいろいろあります。フリーランスをはじめてすぐだと戸惑ってしまうこともあるかもしれません。手続きの使い分けが分からなければ、独断で手続きを選ぶより税務署などに確認した方が安全です。

確定申告シーズンは税務署が混雑します。早めの段階で問い合わせておけば安心して手続きを進められるはずです。税金について他に質問がある場合や節税について、申告全般についていろいろ相談したい場合は税理士を頼るといいでしょう。フリーランスの税金手続きの使い分けや節税について、いろいろ教えてくれるはずです。

訂正申告の期間に注意!期間内なら2回以上できる

訂正申告の期間は確定申告と同じです。確定申告の期間が終わると訂正申告もできなくなるため、注意してください。すでに何度もお話していますが、訂正申告は確定申告のやり直しだからです。期間外にやり直しを認めることはできません。

反対に考えると、確定申告の期間内であれば何度でも訂正申告でやり直しができるわけです。訂正申告は1回しかできないというルールはありません。

2回以上の訂正申告も可能ですが、あまりにやり直すと時間の無駄になります。税金のルールが分からないことによって訂正申告につながったのであれば、2回、3回とやり直しをする前に税務署へ分からない部分について確認を取った方がいいでしょう。

訂正申告・確定申告の期間は基本的に2月16日から3月15日までです。ですが、新型コロナの影響で伸長も可能です。3月15日以降の扱いについて税務署に確認しておいた方がいいでしょう。

訂正申告の際は還付が進んでいないか確認しておく方が無難

訂正申告をするうえで問題になるのは還付です。確定申告で税額を算出し、納め過ぎていることが分かれば、多い分の税金を還付してもらえるのです。

確定申告を行い、次に訂正申告をしたとします。訂正申告をする段階で、前の確定申告書類に従って手続きが進んでいる可能性があります。還付の手続きが進んでいると、訂正申告が間に合わない可能性があります。税務署に進捗状況を問い合わせ、急いで手続きを進めた方がいいでしょう。

まとめ|訂正申告は確定申告のやり直しである

フリーランスは自分で税金を申告するため、確定申告後に「計算ミスした」など間違いを発見するケースもあります。確定申告の期限内であれば訂正申告で修正できますので、ミスした場合は訂正申告で確定申告のやり直しをしましょう。

訂正申告と確定申告は書類なども基本的に同じなので、何度か確定申告をしたことのあるフリーランスであれば、あまり戸惑わず手続きを進められるはずです。

訂正申告の手続きや、手続きの使い分けなどで分からないことがあれば、税務署に問い合わせた方が安心です。

税理士などの専門家もぜひ活用しましょう!