今まで会社が手伝ってくれていた税金手続きも「すべて自分」が基本ですね。
ここでは確定申告について必要な基本的な知識を解説していきます!
フリーランス/事業主として独立して「何をどう税金の処理をすればいいか分からない」という人も多いですし、税金関連の手続きのことがわからなくてフリーランスとして独立するのをためらっている人も多々見られます。
この記事を読めば以下のことを理解できるので、ぜひ読んでみて下さいね!
確定申告とは?
確定申告とは1年間の売上や経費を計算して税務署に報告する手続きのことです。
日本では利益(儲け=売上から掛かった経費を差し引いたお金)が出たら、その収入や利益の性質に応じて税金がかかる仕組みになっています。たとえば相続により遺産を受け取ったら相続税の対象になり、誰かから不動産や現金といった財産をもらったら贈与税の対象になるわけです。会社から給料をもらったら所得税や住民税がかかりますよね。
フリーランス/個人事業主も同じで、1年間の収支を計算して「収支がこうなっていますから、税金額はいくらです」と報告しなければいけないのです。この報告会を「確定申告」といいます。利益や経費を確定させて税務署に申告する。だから確定申告。
フリーランス/個人事業主として仕事を続ける以上、確定申告は毎年しなければいけません。
確定申告はなぜしなければならない?
税務署はひとりひとりの売上や経費など把握していません。
売り上げが出れば自動的に税務署が分かるようなシステムではありませんし、仕事に必要な道具を購入したら税務署に届出が行くようなシステムにもなっていません。
どのくらいの売上があり、どのような経費を支出したのか。税務署が把握していないからこそ、年に1回確定申告という形で報告するわけです。
税務署は売上や経費についても把握していないことに加え、控除を使えるかなど個人の事情についても知りません。
控除や特例などの税制優遇制度を使うためには納税者であるフリーランス/個人事業主が自分から「この控除に該当します」「この特例を使いたいです」とアピールしなければいけません。
税務署側が売上や経費、家族状況、事情などを考慮して親切に「控除や特例の条件に当てはまっていますので、使いませんか」と言ってくれることはないのです。
確定申告は、
・税務署が収支を把握していないため自分から申告して税額を確定させるために必要
・個人事業主/フリーランスが控除や税制優遇などを利用するために必要
ということです。
税務署は税金や収支の計算まではしてくれませんから、自分から1年間のことを報告して税金を確定させるため、そして、使える税制優遇がある場合はアピールするために必要ということですね。
確定申告をしなければならない人
会社が源泉徴収や年末調整などをしてくれる一般的なサラリーマンなどは基本的に確定申告の必要はありません。実際、個人事業主/フリーランスとして独立するまで確定申告をした経験のない人は少なくありません。
ちなみにサラリーマンでも次のような人たちは確定申告が必要だと定められています。
・2つ以上の会社から給与を受け取っている
・年間給与が2,000万円以上である
・雇用先から年末調整を受けていない
・本業以外にも副業で収入があった(アフェリエイトや原稿料など) などなど
サラリーマンでも確定申告しなければならない人については国税庁のホームページに細かな記載があります。
【補足】サラリーマンでも確定申告をした方がいい人
確定申告をする必要のないサラリーマンなどの中には「確定申告をした方がいい」ケースもあります。確定申告は必要ではないが、した方が得になるというパターンです。した方が得になる人の場合、確定申告をすることによって税金の還付などがあります。
サラリーマンなど確定申告不要な人が医療費控除などの控除・特例など税制優遇を使う場合は確定申告で「使いたいです」「条件に当てはまっているので使わせてください」とアピールしなければいけません。
会社側が源泉徴収や年末調整などで税金手続きをサポートしてくれますが、会社側が考慮してくれるのはあくまで一部の控除だけです。会社側が考慮してくれない控除を使いたい場合は確定申告不要なサラリーマンなども確定申告するケースがあります。
ただ、絶対にしなければならないわけではなく、控除や特例を使うかどうかは本人の自由意思にゆだねられています。控除や特例が使えても確定申告をせずに使わないケースも少なくありません。また、サラリーマンの場合は使えることを知らずスルーしてしまうケースも多々あります。
確定申告の会場に足を運ぶと、たまにサラリーマンのような人が来ていることがあります。「フリーランス/個人事業主ではなさそうなのに何で?」と思うかもしれません。確定申告をした方がお得になるため、あえて手続きに来ているわけですね。
個人事業主/フリーランスは税金の手続きを自分でしなければならないため、確定申告を要します。
基本的には個人事業主/フリーランスであれば確定申告は必要になります。
もし基礎控除48万円より所得が少ない個人事業主/フリーランスであれば確定申告の義務はありません。
ただ翌年の住民税の届出を市区町村に提出する必要が出てきたり、予定納税している人は還付をもらいそびれたりする可能性があります。
また、青色申告している人であれば赤字分を翌年に繰り越せるのですが確定申告しないと適用されません。
いずれにしても、ここでは個人事業主/フリーランスであればどんな方でも確定申告はしておいた方が良いでしょう。
確定申告をしないとどうなる?
フリーランス/個人事業主の1年の儲け・経費などを報告し、収支や税金を確定させるのが確定申告の目的です。
この目的を聞くとフリーランス/個人事業主の中には「あえて報告しなくてもいいのでは」と思う人もいるのではないでしょうか。「別にこっちから税金のために報告してやらなくても・・・」と面倒に思うかもしれません。税金を取られるための報告なんて、確かにしたくありませんよね。
また、確定申告をしなければ「税金を取られることもないのでは」とも思うかもしれません。確定申告が1年間の収支や税金を確定させるための報告のようなものなら、報告せずに無視しておけば「儲けなんてなかった」ことにできる、つまり税金の課税もされないのではないかと思うのではないでしょうか。
実際はそう上手くは行きません。無申告や税金逃れのような行為にはペナルティがあるのです。
確定申告をしないと基本的にバレる
税務署は厳しい目でいろいろな会社の入出金を見ているため「確定申告をしなくてもバレないだろう」と思っても、基本的にバレます。ネット上の書き込みからバレるケースや取引先との入出金でバレるケース、告げ口などからバレるケースなど、いろいろなパターンがあります。開業届を出しているのに確定申告がないことでバレるケースなどもあるのです。
無申告で通そうとしても税務署は税金のプロ集団で常に目を光らせているため、基本的にバレると考えた方が無難です。
確定申告をしない場合のペナルティ
確定申告をしなかった場合、要するに無申告の場合はペナルティがあります。
「無申告加算税」「延滞税」などです。しなければならない確定申告をせずに税金逃れをしようとしたのだから、ペナルティとして税金を割り増し請求されることになります。
無申告加算税とは、確定申告の期限までに手続きしなかったことに対するペナルティ税です。税率は「納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額」になります。
さらにペナルティとして延滞税があります。延滞税とは税金の遅れに対して課される利息のような税金です。確定申告をせず税金を放置しておくと、しっかり手続きしていれば払わなくてよかったペナルティ的な税金まで払わなければならなくなります。
また、悪質な脱税・無申告については刑事責任も追及される可能性があるのです。国税庁の資料によると、無申告では令和元年に11件、令和2年に7件の告発が行われていることが分かります。
フリーランス/個人事業主になったばかりで「税金のことはよく分からなかった」と手続き忘れしただけでもペナルティのリスクがあります。節税などを考える際も、ルールとして許されている方法を使いましょう。フリーランス/個人事業主として仕事をする以上「知りませんでした」では済まないということですね。
フリーランス/個人事業主の確定申告の方法
フリーランス/個人事業主が仕事を続けるためにも確定申告などの税金手続きは重要です。では、「確定申告はどのようにすればいいのか?」が問題です。
確定申告の基本は「期限内に定められた書類を提出すること」です。ただ、この書類を提出するためには、フリーランス/個人事業主としての収支が分かる通帳や領収書などの整理が必要になります。書類に簡単に記載して終わりではないため注意してください。
フリーランス/個人事業主が確定申告をするときの方法は次のような流れで進めます。
上記の流れの中で一番時間がかかるのは領収書や帳簿の整理になります。
確定申告の際に領収書すべてを添付するわけではありませんが、手続きの際に税務署から「この金額の裏付けは?」と尋ねられたときに証明できる資料が必要です。領収書などは確定申告の書類に記載する数字を計算するための資料でもあり、数字を裏付ける証拠でもあります。
確定申告の方法は大きく分けて3つある
確定申告の方法は大きく分けて3つあります。
最終的に期限内に確定申告ができればいいので、どの方法で手続きを進めても問題ありません。
申告会場で行う確定申告とは、確定申告シーズンに設置されている申告会場(自治体や税務署などの会場)に必要な資料を持って行って申告する方法です。分からないことがあればすぐに担当者に確認でき、場合によっては申告のサポートなどもしてもらえますので、確定申告がはじめてのフリーランス/個人事業主でも安心して手続きできるはずです。
確定申告書類は国税庁にテンプレートがありますので、自宅である程度埋めておき、分からないところは申告会場で確認することも可能です。※テンプレートは年度を確認して使ってください。
ネットを使う方法とは、領収書や帳簿などの資料をもとに計算し、計算結果を自分で入力して送信する方法になります。この方法の場合はある程度の確定申告や控除、税金の知識を要します。
最初は申告会場に足を運び、慣れてきたら自分で自宅パソコンを使って確定申告という流れでも良いかもしれません。
ネットに入力しておいて完成したら書類一式を印刷し、管轄の税務署に提出する方法もあります。
なお、税理士に依頼すれば確定申告などの税金手続きを代理してもらうことも可能です。
フリーランス/個人事業主確定申告の時期/場所
確定申告の時期と場所は決まっています。
場所は自治体によって異なりますので、自治体や税務署の広報などをチェックしておくといいでしょう。
自治体によっては公民館などに申告会場を設けるケースもあります。
基本的には管轄の税務署に確定申告の書類一式を提出すれば問題ありませんが、自治体などに申告会場があれば、自治体の会場で提出しても差し支えありません。
確定申告の時期は毎年2月16日から3月15日までです。
この期間内に前年(前の年の1月1日から12月31日)分の確定申告を済ませることが原則です。ただし、新型コロナの流行により令和2年は確定申告の期間が伸びました。令和2年分の場合は確定申告期間が1カ月延びて4月15日まででした。
確定申告期間は最終日が土日祝日に重なると翌営業日まで伸びることがあるので要確認です。
おわりに|仕事をしながら常日頃から準備することが重要!
フリーランス/個人事業主として仕事をする場合、税金の手続きは自分でしなければいけません。代表的な税金の手続きとしては、確定申告があります。
何度か繰り返していると、確定申告にも慣れてきます。ただ、最初の頃は戸惑うかもしれないですね。確定申告の意義やしなければならない理由など基本的な知識から少しずつおさえていけば、自然と税金についての理解も深まり、手続きを進める上での助けになるはずです。