開業する時に「青色申告した方が良い」ってよく聞きますよね?
でもそんなこと言われても青色申告についてのメリットを知らないと青色申告すべきかどうか判断できないですよね。
ここでは青色申告について理解できていない方向けに青色申告の基本と白色申告の違いを解説していきますね!
フリーランスは会社員ではありませんから、会社が税務面をサポートしてくれません。税金の手続きは基本的にフリーランス本人がすべて自分でしなければならないのです。そんなフリーランスの税金手続きの中で最も代表的なものが 確定申告 になります。
確定申告は、フリーランスの1年間(1月1日~12月31日分)の売上・収支や税金の計算結果を税務署に報告する手続きです。税務署や自治体は確定申告で提出された必要書類を確認して、税金の徴収や還付を行う仕組みになっています。確定申告はフリーランスの各種手続きの中でも一大イベントです。
フリーランスが確定申告をスムーズにこなすためには、ある程度の税金知識・手続き知識が必要になります。中でも重要な基礎知識が 白色申告と青色申告 です。
この記事では、フリーランス初心者が早めに理解しておきたい白色申告と青色申告についてお話しします。
フリーランスの確定申告(白色申告/青色申告)の基本的な3つのポイントについて分かりやすく説明します。
確定申告には2つの種類がある
フリーランスの確定申告には2つの種類があります。
ひとつが「白色申告」で、もうひとつが「青色申告」です。青色申告をする旨の手続きをすれば、確定申告を青色申告で行うことになります。何も手続きしていなければ白色申告です。デフォルトの確定申告が白色申告になっており、手続きしたフリーランスだけが選べる特別な申告方法が青色申告だと考えれば分かりやすいかもしれません。
確定申告を白色申告と青色申告のどちらで行うかによって、確定申告の内容や準備、税金額が変わってきます。税金が変わる、つまり税額が増減するということは、フリーランスの収入状況ひいては生活にも関係してくるということです。
フリーランスとして仕事をする上で確定申告の方式は非常に重要です。白色申告と青色申告のどちらで確定申告をするか、早めに決めておきましょう。ただ、決めるためには青色申告と白色申告の内容を理解しないといけませんよね。次の見出しから、確定申告の基本的なかたちである白色申告から順に説明します。
フリーランスの白色申告とは?
白色申告とはフリーランスの基本的な確定申告方式になります。青色申告の手続きをしていなければ確定申告は白色申告です。白色申告をするために特別な手続きをする必要はありません。
白色申告の特徴は何と言っても簡単さです。青色申告のように手続きをする必要はなく、青色申告より確定申告の準備も簡便になっています。
白色申告のメリット、デメリットを見れば特徴をより明確に理解できることでしょう。
フリーランスが白色申告するメリット
白色申告のメリットはすでにお話しした通り「手軽さ・簡便さ」です。
青色申告をするためには事前に開業届と青色申告の申請書を提出しなければいけません。開業届を提出しているだけでは青色申告はできず、さらに青色申告の申請書を事前に出しておかなければならないのです。
青色申告の申請書は確定申告の直前に出せば良いわけではなく、提出期限などのルールがあります。つまり、青色申告をするためには青色申告申請書の提出期限などに注意して、前もって手続きしておかなければならないわけです。対して白色申告は何もしなくていいので、フリーランスにとっては楽ではないでしょうか。
白色申告の場合、フリーランスの仕事の帳簿も青色申告より簡便で良いことになっています。収支内訳書の記載で大丈夫なので、青色申告のように複雑な帳簿を整える必要はありません。白色申告は簡単な帳簿で確定申告できるわけですから、その分だけ手続きもシンプルです。
青色申告の申請書提出といった事前の手続きがない。簡単な収支内訳書を整えるだけで大丈夫なので、確定申告の準備負担が少ない。青色申告より内容がシンプルで分かりやすい。これが白色申告のメリットです。
フリーランスが白色申告するデメリット
白色申告のデメリットは、青色申告のような税金上のメリットが使えない点です。
詳しくは青色申告のメリットでお話しますが、青色申告にはフリーランスが節税できる税制上のメリットがあるのです。しかし、白色申告は青色申告のような特典がないため、節税という点では基本的に青色申告より不利になってしまいます。
白色申告はシンプルで帳簿も簡便ですが、簡単な分だけ「特典はありませんよ」という感じです。お店の商品でよく限定版と通常版がありますが、白色申告はまさに確定申告の通常版という感じかもしれないですね。
フリーランスの青色申告とは?
次に、フリーランスが手続きした上で行う青色申告について見てみましょう。
青色申告は白色申告と比較して事前に必要書類を提出するなど、手間のかかる確定申告方式です。しかし、手間がかかる分、青色申告には税制上のメリットがあります。
フリーランスが青色申告をするメリットとデメリットについて見ていきましょう。
フリーランスが青色申告するメリット
フリーランスが青色申告するメリットは、何と言っても税金上の特典を受けられることです。
青色申告は準備しなければならない帳簿が複雑化する分、青色申告特有の控除や経費計上が認められています。
- 青色申告の特別控除が使える
- 専従者給与を必要経費にできる
- 純損失の繰越しや繰戻しが認められている
- 貸倒引当金の計上が可能
青色申告にはこれだけの特典があります。
青色申告の特典により「経費をより有利に計上できる」「控除が使える」ので、よりフリーランスの税金負担を軽減できることがメリットです。
特典①:青色申告の特別控除が使える
青色申告には「65万円(55万円)の特別控除」という特典があります。この特別控除は白色申告にはない、青色申告だけのメリットです。控除を受けられる分、同じ金額なら白色申告よりも青色申告の方が節税になります。
特典②:専従者給与を必要経費にできる
フリーランス/個人事業主は配偶者や親族を「専従者」として雇うことが可能です。一言でいうと、従業員として雇えるということです。
青色申告の場合、配偶者や親族を専従者として雇ったときに発生する給与を必要経費として計上できるメリットがあります。
なお、青色申告をしているフリーランスが専従者給与を経費計上するためには「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出するなど、ルールがあります。ただ、ルールさえ守れば経費計上というメリットを受けられるため、節税効果が期待できるのです。
特典③:純損失の繰越しや繰戻しが認められている
青色申告では、フリーランスが仕事で赤字を出した場合に損失(赤字)の繰越しが認められています。繰越し期間は3年です。
青色申告には繰戻しという特典もあります。仕事で赤字になった場合、前年度分を繰戻して税金の還付を受けられるという仕組みになります。繰越しや繰戻しを使うことで、赤字への対処がしやすくなっています。
特典④:貸倒引当金の計上が可能
青色申告には貸倒引当金を計上できるというメリットもあります。
貸倒引当金とは、フリーランスの取引先が倒産したり、支払い不能になったりしたときのためにプールする資金のことです。仕事の取引先などによって起こる「もしも」のためのお金だと解釈すれば分かりやすいでしょう。
青色申告では貸倒引当金として未収金や売掛金などを計上できる仕組みです。
フリーランスが青色申告するデメリット
フリーランスが青色申告を使うデメリットは「面倒」なことです。
すでにお話ししたように、青色申告をするためには事前に青色申告の承認申請書を提出しなければいけません。提出先は税務署です。
青色申告をするためには書類提出という手間があるため、白色申告より面倒です。さらに、青色申告の承認申請書は、青色申告をしようとする年の3月15日まで提出しなければならないというルールがあります。期間に必要書類を提出していないと、そもそも青色申告はできません。
青色申告の場合は帳簿が白色申告より難しくなります。これは、白色申告にはない特典である控除や経費計上といった特典があるからです。
帳簿が複雑化する分、青色申告をするフリーランスにはある程度の税金知識が求められます。仮に「難しくて自分では無理」「誰かに教えてもらいたい」となった場合は、税理士などに相談することも必要です。青色申告は白色申告より難しく、時間と手間がかかります。
白色申告と青色申告はどちらがいいの?
白色申告と青色申告があると、フリーランスは「どちらの方式で確定申告したらいいのだろう」と悩んでしまいますよね。
青色申告には控除や経費計上といったメリットがあるのですが、その分だけ手間がかかります。白色申告は青色申告と比較して簡便ですが、青色申告のような控除・経費の特典はありません。節税という点では圧倒的に青色申告の方が有利そうです。フリーランスなら青色申告すべきなのでしょうか。
青色申告が節税・お得につながるわけではありません。フリーランスの実情に合わせて白色申告と青色申告のうちどちらを使うか決める必要があります。
白色申告と青色申告でフリーランスの税金がどれだけ違うか
白色申告と青色申告でフリーランスの税金がどれくらい違ってくるか、参考までに見てみましょう。
たとえば、年間の売上が500万円のフリーランスで経費が300万円の場合、他控除や専従者給与などを計算に入れずに簡単に試算すると、白色申告の場合は所得税・住民税・国民健康保険税を合わせて年43万円ほどの支払いになります。対して青色申告の場合は約27万円です。
年間800万円の売上で経費が500万円の場合は、青色申告だと約52万円ですが白色申告だと約71万円になります。実際は他にも控除が関わってくるため、税金額は違ったものになります。ただ、試算を見ただけでも青色申告と白色申告ではかなり支払い額に差が出ることを分かっていただけるはずです。
フリーランスの節税という点では、やはり青色申告の方に軍配が上がると言えるのではないでしょうか。
フリーランスの中には青色申告で節税できないケースもある
青色申告はフリーランスの節税に有効な申告方式ですが、中には青色申告が節税効果を発揮できないケースもあるのです。
たとえば、フリーランスとしての収入が赤字状態だったらどうでしょう。青色申告には特別控除があるわけですが、0や赤字から控除はできません。このようなケースでは、青色申告はせっかくの節税効果を発揮できない可能性があるのです。フリーランスの収入が赤字状態の場合は専従者を雇うどころの話でもありませんよね。
このようなケースでは青色申告をしてもせっかくのメリットを活かせないため、青色申告がお得とは言い切れないわけです。
白色申告から税金慣れするのもひとつの方法!収入が多いなら青色申告
フリーランスが白色申告と青色申告で迷ったら、手続きや準備が簡単な白色申告で税金慣れするという方法もあります。税金のルールは複雑なので、まずは白色申告で手続きして、フリーランスとしての収入アップにともない青色申告に切り替えるという方法です。この方法なら自然と税金知識が身につきます。
ただし、フリーランスとしての収入が初年度から多い場合は、この方法はおすすめしません。
収入が多ければそれだけ税金も高額になります。収入が多い場合はどうしても白色申告だと税金が高額になってしまう可能性があるため、特別控除などの特典がついている青色申告の方が税金負担は軽くなります。青色申告に必要な知識や帳簿の調整に苦慮するかもしれませんが、税理士に依頼するなど、工夫して青色申告に挑戦してみてはいかがでしょう。
また、白色申告と青色申告で迷ったら、一度じっくり税理士に相談して決めてもいいでしょう。税理士に相談すれば、経費や課税される税金、税額などのアドバイスも受けられます。フリーランスとして仕事をする上での税金知識の基礎固めができるはずです。
まとめ
青色申告と白色申告の違いについて説明しました。
白色申告は基本的な確定申告方式で、メリット(特典)のない方法になります。商品で言うところも通常版のようなものです。対して青色申告は事前手続きが必要ですが、節税効果が期待できる特典がついています。青色申告は事前予約が必要な限定版商品のようなものです。
青色申告と白色申告を選ぶときのポイントは、フリーランスの収入状況などです。迷ったら税理士に相談してみるのもおすすめです。